付き合う人の“質”が自然に変わった

禁酒・禁煙を一年続けてみて驚いたのは、こちらから何も言っていないのに、周りの人間関係が自然と入れ替わっていったことでした。
以前の私は、飲み会を中心に仲が深まるタイプのコミュニティに属していました。
もちろん、楽しい時間もたくさんあったのですが、今振り返ると「その場のノリでつながっている関係」も多かった気がします。
禁酒禁煙を始めてから、私は飲み会の優先順位を下げざるを得なくなったのですが、不思議とそこから“落ち着いて話せる人”や“価値観が近い人”とのつながりが増えていったんです。
心理学者ロビン・ダンバーの「ダンバー数」の研究でも、人が本当に深い関係を築ける人数には限界があるとされています。
私の場合、アルコールが抜けたことで、その限られた枠に「本当に大切にしたい人」が残っていったのだと思います。
無理して広げるより、静かに絞られていく感じが、とても心地いいと感じています。
気を遣いすぎていた会話がラクになった

禁酒・禁煙を始めてから、自分でも驚くほど「会話で疲れにくくなった」と感じています。
以前の私は、相手の気持ちを考えすぎてしまい、会話の最中も“こう言ったらどう思われるかな?”と常に気を張っていました。
これはアルコール依存の背景にある「対人不安」が関係しているという論文も多く、たとえばJournal of Anxiety Disordersの研究では、アルコールは一時的に不安を軽減するものの、長期的には対人不安を悪化させると報告されています。
禁酒を続けることで、この“対人不安の揺れ幅”が少しずつ減っていった気がします。
私は相手の機嫌を取るのではなく、ちゃんと“聞きたいことを聞ける自分”になっていきました。
結果的に、会話の疲労感が激減。気を使いすぎていたのは私の方だったと、ようやく気づけました。
誘いを断る罪悪感が薄れていった

禁酒・禁煙を始めた頃、私は「誘いを断るのが苦手」という大きな壁にぶつかりました。
特に、仕事終わりの飲み会は断ると場の空気が悪くなるのでは…と勝手に思ってしまっていたんです。
そこで私はヘンリー・クラウドの『Boundaries』を読み、断り方の“型”を作ることにしました。
たとえば、
「今日は身体を休めたいので、また誘ってくださいね」
「今はお酒を控えているので別の日にゆっくり話したいです」
というような、短くて丁寧なフレーズを3つ持つだけで、罪悪感が大幅に減りました。
何度か使ううちに、相手も「あ、そういうスタイルなんだ」と認識してくれ、無理に誘われることも減っていきました。
罪悪感の正体は“相手の期待に勝手に合わせようとする自分”だったのだと思います。
今は断ることも、私にとって大切な選択のひとつです。
本音で話せる機会が増えた

不思議なのですが、禁酒・禁煙を続けてから「前より本音で話せるようになったね」と言われる機会が増えました。
自分では全く意識していなかったのですが、振り返るとアルコールの力を借りないと踏み込めなかった話題が、今では素の状態でも話せるようになりました。
それは、飲んだ勢いではなく、“私の意思”で言葉を選べるようになったからだと思います。
スタンフォード大学の心理学者ケリー・マクゴニガルの『スタンフォードの自分を変える教室』にも、衝動を抑える力(ウィルパワー)は人間関係の質を高めると書かれています。
自分の感情をコントロールできると、相手の感情にも丁寧に向き合えるからです。
その結果、深い話が自然と増え、“気持ちのいい距離感”で付き合える相手が残っていきました。
人の感情を引き受けすぎなくなった

禁酒・禁煙を続けて一番大きかったのは、“他人の感情に飲まれないようになったこと”だと思います。
以前の私は、誰かが不機嫌そうにしていると「私のせいかな?」とすぐに考えてしまうタイプでした。
ところが、禁酒・禁煙を始めてから、感情の波が穏やかになったことで、「それは相手の問題」と冷静に切り離せるようになってきたんです。
スーザン・デイヴィッドの『エモーショナル・アジリティ』には、感情を“自分のものではない刺激”として距離を置くことで、ストレスが大幅に減ると書かれていました。
私はこの方法を毎日の生活で取り入れています。
結果的に、人の機嫌や反応に振り回されなくなり、大切な人との関係だけにエネルギーを注げるようになりました。
これは禁酒・禁煙で得た、何より大事な変化だと思います。
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